コラム~成蹊ラグビー

先人の言葉

2017/09/29(金) 09:01

先日、大前研一氏が主宰するビジネス・ブレークスルー大学院のセミナーに出席してきた
『最先端のテクノロジーがもたらす各産業の未来地図』という内容のものであったので(自分の復習もかねて)少し説明したい

20世紀後半はアジアの時代と言われるが、それはアジア=日本であった アジア唯一の先進国として世界経済を牽引していた
ここに面白いランキングがある
1位NTT(183.60)、2位住友銀行(76.19)、3位日本興業銀行(73.98)、4位第一勧業銀行(69.51)、5位富士銀行(68.41)、6位IBM(65.23)、7位三菱銀行(62.33)、8位エクソン(60.50)、9位東京電力(59.93)、10位三和銀行(54,.23) 
(  )内の数字の単位は10億米ドル
これは、1989年3月末時点での時価総額ランキング世界Top10である IBMとエクソン(ともに米国企業)を除くとすべて日本企業である
約30年後の2016年3月末にはこれがどのようになっているかというと
1位アップル(513.45)、2位グーグル(482.11)、3位マイクロソフト(392.00)、4位エクソン(367.10)、5位バークシャーハサウェイ(359.27)、6位フェイスブック(336.31)、7位アマゾン(311.21)、8位ジョンソン&ジョンソン(309.27)、9位GE(286.92)、10位ウエルスファーゴ(253.73) 
これらはすべて米国企業であり、その大半が1980年前後に創業された新興IT関連企業である
ものの見事に21世紀を過ぎると日本企業はTop10はおろかトヨタ自動車がようやく29位となっているくらい全体的な落ち込みが激しく経済成長は鈍化ではなく減退傾向にあることが鮮明にわかる

マクロ経済において環境分析を行う手法の一つに『PEST』というのがある
P:Politics(政治情勢)、E:Economy(経済環境)、S:Society(社会情勢)、T:Technology(技術革新)から判断することであるが、果たして1989年の時点で30年後にこのような情勢になっていることを誰が予測できただろう
つい最近の出来事を見ても、政治情勢についてはトランプ大統領が出現するなんて投票が終わるまで誰もそう思わなかったし、英国がEU離脱することも想像していなかった、経済についても明日の株価や為替相場は誰にもわからないし、社会情勢でもここまで少子高齢化が急速に進展するとは誰も思わなかった 技術革新だって車の主流が電気自動車にとって代わりそうだなんて理解不能に近い
つまり、未来を予測して何かに対応することはかなり困難なことなのであるが、間違いなく言えることは過去の成功体験や経験則に基づいて将来に備えようとしていては「負け組」に分類されてしまうということだ

石器時代が終了したのは石がなくなったからではなく鉄器が出現したからだし、馬車が車に変わったのも「車が欲しい」と思ったからではなく「もっと丈夫で早い馬車が欲しい」と思ったからである 
今まで主力であった技術も産業も「破壊的技術」の登場により企業等の交代が行われるのである

と言うようなセミナーだった もっともっとそれぞれに詳しい分析と事例が出ていたのではあるが・・・・これらを全部説明しているとものすごく長いコラムになってしまうのでかなり割愛したが・・

で、何を伝えたいのかというと
これからの世界では、「今までの成功体験は通用しないので、変化を直視し、今までの成功パターンを捨てて、新たなチャレンジを始めること」が大切であるということ

これって先日の「失敗の本質」で引用したチャールズ.ダーウィンの『強い者が生き残るのではなく変化に最も柔軟に対応したものが生き残る』ということと同じだということに気づいた次第なのです

先人の言葉って重たいなぁと思ったセミナーでした

2017.9.29
SRFC Taro.S