コラム~成蹊ラグビー

ちゃんと知ってて使っている言葉ですか?

2017/05/30(火) 00:08

少子高齢化・・・新聞紙上で目にしない日はないし、就活生もお題目のように自身の志望動機の中に「少子高齢化が進み、その中で私は・・・」なんて取り入れている学生が多くいる中でその実態をどのくらい把握しているのだろうか

日本は2008年12,693万人をピークに人口減少時代へ突入しており、ほぼ1年に80万人のペースで減少しているらしい

この80万人ってどのくらいかを分かり易く言うと現在の浜松市(静岡県)の人口が80万人ほどなので、ほぼ毎年浜松市の人口と同数の人がこの日本から減っていることになる

国立社会保障・人口問題研究所の推計資料によると、現在1億2千万人ほどの人口が2110年には4280万人まで減少してしまうと試算されており、この推計は過去にもぶれがなく、(何も対策を講じなければ)ほぼこの通りになると言われている

民進党の議員が「待機児童問題」を取り上げているが、実はこの問題は都心だけの問題であって地方の人々にとって何をそんなに騒いでいるの?というのが実態であり、地方の人にとっては過疎化がどんどん進んでいる現状の中では少子高齢化をいかに国が対策してくれるかのほうが実情に合っている

2016年に安倍政権が地方創生の一環として人口を1億人で維持しようすることを政策の中に織り込んだが、それ以前にこの人口政策を閣議決定し政策の中に織り込んだのは1941年の近衛文麿内閣にまで遡ることになる

1941年というと昭和16年 まさに太平洋戦争に突入しようとする年であり、これは悲しいかな「軍備増強、兵力増強」のなにものでもない政策であまり感心できないが、昭和35年までに人口1億人を目指すという具体的な目標を掲げたものである

人口の増減と国体は比例すると言われているので安倍政権の人口増加に関する政策は将来的な日本の危機に備えようとしているのでもっと評価されてもよいと思っている

日本では評価されるかどうか難しいと思うが、フランスではシラク大統領時代の1994年1.66%まで落ちた出生率を2005年までに2.0%台まで回復させた『シラク3原則』というのが存在している
①子供を持っても新たな経済負担は生じさせない
②無料の保育所を完備
③育児休暇から職場復帰した際には休暇前の待遇を約束
という政策を打ち出し、人口減少に歯止めをかけた

素晴らしい政策だとは思うが、日本が直ちにこの原則を真似ようとしても文化的に難しい実態もある

それは、婚外子に対する差別的な考え方、婚姻に対する一般通念の存在やジェンダーギャップなど日本独自の文化を考慮しないとならないからである

少子高齢化を問題にするのは簡単であるが、経済的な側面だけではなく文化的な観点からも国情に合ったやり方で少しでもはやく出生率を上げるにはどうしたらよいかをもっと国会で論戦を繰り広げて欲しいと思ってしまった

2017.5.30
SRFC
Taro.S