コラム~成蹊ラグビー

樋口廣太郎氏

2017/05/26(金) 15:45

会社の研修会で招いた講師の座右の銘が「心は形を求め、形は心をすすめる」だと言っており、仏教からきた言葉だとのことなので調べたところ、『心を整えたくても心そのものは形をもたない、けれども所作や行動といった目に見えるものの形を整えることで心を整えることができる』という仏様の教えだということが解った

僕の中ではすぐに樋口廣太郎氏が思い出された 樋口氏は住友銀行を副頭取まで務め、その後アサヒビールの社長に就任、当時経営不振状態のアサヒビールの再建に成功された辣腕の経営者である

TV放談の中で『赴任初めての朝、アサヒビールの社屋に入りエレベーターに乗った際に僕のことをだれも知らないのはしょうがないと思うけど、年配者が乗ってきても挨拶もしないし、ネクタイもだらしがなく結ばれた状態で朝にもかかわらずぼーっと乗っている社員の姿を見て、経営不振の原因はこれだと思ったので、身なりを整え、しっかりと挨拶ができるようにすることから社内改革を始めた』と話されていたことを思い出した

まさしく樋口氏の言わんとするところはこの言葉と同じだと思ったのである

樋口氏が社長に就任してからのアサヒビールの快進撃はすごかった 

『濃くがあるのにキレがある』というキャッチフレーズで青木功とジャンボ尾崎を使ったCMで爆発的に売れたスーパードライの登場で、それまでキリンビールの独壇場だったビール市場でキリンを抜き去りトップに躍り出たのである 

僕が銀行員時代の銀座支店時代にアサヒビールは取引店で、かつ担当者だったこともあったので当時取締役だった支店長と年始の挨拶をしに行った際に、樋口社長も同席されることが分かったので・・・銀行から転出して大企業のトップとなり経営者として大成功を収めている憧れの張本人に会えると思ったので・・・サインをしてもらおうと思って色紙を持参したところ次のような一言を添えてサインを下さった 

『呑舟之魚不游枝流 (呑舟の魚は枝流に游がず)』

「船を飲み込むような大きな魚は小川にはすまない」 つまり、大物はつまらないものと付き合ったり、小事にはかかわらないということを意味しているそうで、君もこれから社会に出て色々な人と出会ったり色々な難事に関わると思うけど何か判断基準が必要になると思うからこの言葉を君に送るよと言って下さった言葉である

全く実践できていないことを実感しつつ少しでも近づけたら良いなぁとまた今日思い出した

忘れもしない1990年1月10日に頂いたその色紙は今でも大切に実家の仏間に飾ってある


2017.5.26
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