コラム~成蹊ラグビー

広辞苑

2017/10/27(金) 09:00

先日『広辞苑』が改訂されるというニュースがあった
来年2018年1月12日に第七版として発行されるとのことで、今回は第六版(2008年発行)より約1万語を追加し25万語を収録しているそうだ

広辞苑は1935年博文館から出版された「辞苑」の改訂作業を引き継ぎ、岩波書店を発行元として書名を今の名前に改めて1955年に初版されたもので、中型国語辞典としては三省堂の「大辞林」と並んで有名である
第六版のものは37万部も売れ、初版からの累計では1,180万部も売れていることからロングセラー商品であると言える

時事用語を多く扱う「現代用語の基礎知識」や「イミダス」のように新語を毎年追加していく性質の書籍ではないので、改訂時に採用される新語については若者言葉が一般的に日本語として定着していることを目安としているとのことで、今回追加された言葉をいくつか挙げると、「上から目線」、「のりのり」、「アプリ」、「ツイート」、「ブラック企業」、「限界集落」、「ips細胞」、「ゲリラ豪雨」、「高倉健(故人)」、「ジョブス(故人)」などが追加されているらしい

辞典の編纂作業は、三浦しをんさんの「舟を編む」という小説があるので興味がある人は読んでほしいが、数多な言葉を一つ一つ洗い出し、意味や使われ方を見直し、載せる言葉がどうかを決めていくという膨大な作業となるので、今回の広辞苑を見ても分かるように改訂には7~10年もの期間を要する

電子辞書の中に複数の辞書の一つとして収録されており、携帯電子機器として所有している人もいると思うが、この膨大な作業の大変さを考えると是非とも書店で買ってあげて欲しいと思ってしまう

※三浦しをん 「舟を編む」について
<あらすじ>
ある出版社に勤める営業部に所属している主人公は変人として部内では持て余され気味だったが、新しい辞書の編纂メンバーとして辞書編集部に異動となり、個性的な人々との出会いの中で主人公は辞書の世界に没頭するようになる
言葉と言う絆を得て主人公たちの人生が優しく編み上げられていく中で元来人付き合いが苦手の主人公の恋の行方や問題山積の辞書編集部で果たして新しい辞書は完成するのか
<お勧めの理由>
2012年本屋大賞に輝き、2013年松田龍平、オダギリジョー、宮崎あおいが主演となって映画化もされていますがぜひ原作を読んでほしいです
読書などに縁のない人でも、言葉への敬意や不完全な人間たちへの愛おしさを謳いあげている小説なので「本好き」のきっかけとなってくれれば良いと思っています

2017.10.27
SRFC Taro.S