コラム~成蹊ラグビー

まぐろの日

2017/10/10(火) 10:22

wikipediaによると今日は「まぐろの日」らしく由来を探るとなんと1,200年以上の前に遡るようだ

万葉集の中に
やすみしい 我が大君の 神ながら 高知らせる
印南野の 邑美の原の荒たへの 藤井の浦に
しび釣ると 海人船騒ぎ 塩焼くと 人ぞ多はにある
浦を吉み うべも釣りはす 浜を吉み うべも塩焼く

「八方(全国)を治めている大君(天皇)が御殿を構えている印南(兵庫県明石市近辺)の藤井の浦(沖)では、しび(鮪)を釣る舟が沢山出ており、また、釣った鮪を塩焼きにする漁師も沢山いる このような賑やかな様を何度も何度も眺めに行きたくなるのもよく理解できるほどにこの藤井の浦は素晴らしいところである」という歌を726年の10月10日に聖武天皇のお供をしていた山部赤人が詠んだ事に因んで、1986年に「日本かつお・まぐろ漁業協同組合連合会」が10月10日を「マグロの日」に制定した

当時は冷凍冷蔵手段などは当然のことながらないので、地元漁師だけがその味を堪能することができたが、江戸時代中期に調味料として醤油が出回るといわゆる「づけ」が流行し、庶民の間でも生のまぐろを食べる習慣となったと言われている

脂ののったトロの部分が珍重され、とくに青森県大間沖で釣れた本マグロの大トロは庶民には手の届かないものになってしまっているようで、また、世界中での乱獲により天然資源としての鮪は激減しており、中には絶滅危惧種に指定されてしまった種(太平洋クロマグロ)もある

現在では養殖の技術が発達し、近畿大学水産研究所が2002年に完全養殖に成功したことで資源の減少に歯止めがかかると言われている

もともと「まぐろの日」を制定したのは鮪を庶民に身近な魚としてもっと食べて欲しいという思いから記念日を制定したのだが、こんなにも世界中で食されるようになるとは当時は思ってもみなかっただろうし、その結果乱獲競争が激化し、養殖された鮪じゃないと庶民の口に入らなくなるとは思ってもみなかったと思う

その場所に行かないと食べられない食文化が近代化と共に失われていく現状を聖武天皇や山部赤人はどのように思われているのか聞いてみたい気がした「まぐろの日」となりました

2017.10.10
SRFC Taro.S