コラム~成蹊ラグビー

ラグビーW杯日本大会のことを考える

2017/09/22(金) 09:05

日本経済新聞(9/20付)で2ページにわたって『2019年ラグビーW杯日本大会』のことが特集されていた
記事はその大半を前向きなイメージで代表の現状、協賛企業の動向、開催地の準備状況等々となっていたが、冒頭に少し気になることが書かれていたのでそれについて自身の見解を述べたいと思う

今ではラグビーW杯はサッカーW杯、夏季オリンピックと共に世界三大スポーツイベントと言われているが、日本国内における認知度が低いことにワールドラグビー(国際統括団体)が懸念を示しているらしい
今年7月の市場調査会社(インテージ社)による全国32万人を対象に行った調査では、W杯日本大会の認知度は51%でありその翌年に行われる東京オリンピックのそれと比較して大きく劣ることが判明、また実際に直接競技場に足を運んで試合を観戦したいという人が8%に留まっているからだ
また、競技場とホテルとの距離や移動手段、ホテル設備の水準の低さも懸念材料として指摘されているとのことであった

これに関して思うのは、まず日本人は「熱しやすく冷めやすい国民気質」・・すでに2年前の日本代表vs南アフリカ戦なんかはラグビー好き以外では既に忘れさられているし、「五郎丸」も過去の人となっていることを考えると、大会が直前になれば自然と盛り上がってくるはずであり観客動員数について今の段階で心配することではないと思っている 
※しかしながらチケット代が想像以上に高額な場合、地方開催地かつ日本代表が出場しない試合の観客動員が少なくなってしまう可能性はあると思う
次にインフラ整備についてだが、全12会場(札幌、釜石、熊谷、東京、横浜、袋井、豊田、東大阪、神戸、福岡、大分、熊本)の全て会場において同等のインフラを求めること自体に無理があると思う
たとえば、釜石会場を例にとって考えればよくわかると思う 
もともとは新日本製鐵釜石工場の企業城下町であったが、ラグビーの新日鉄釜石時代の終焉と共にピーク時9万人を超えていた人口も現在では4万人弱と過疎化が進む一方である
東日本大震災の復興のシンボル的な存在としてラグビーで再び町を盛り上げようとする気持ちは理解できるが、釜石へ行くのにどのくらい掛かるかというと東京から新幹線利用で5時間、高速バスで9時間、自家用車でも7時間もかかる
そのような場所に運営側が求める収容人数を満たすような立派な競技場を作り、宿泊施設を完備したところでW杯が終わった後にいったいどれだけの観光客やスポーツ観戦者が訪れてくれるのか、それは地元の人が良く理解しているはずでそのしわ寄せは地元行政と地元企業に及んでくることが自明なのでお金を掛けたくないという気持ちはよく理解できるのだ

近年スポーツイベントの商業化が問題視されており、オリンピックの招致でさえ手を挙げる国と地域が減少傾向にある中でラグビーW杯も同じ道をたどってしまうのではないかと危惧している
もともとラグビーはプロ化されるのに時間がかかっており、それだけ依然としてアマチュアリズムが強く残っているスポーツであり、お金をかけることに対して良しとしない風土があると思う
せっかく釜石や熊本など震災被災地を開催都市に選んだのであれば、もう少し地元事情を優先して実行していく道を模索して良いのではないかと思っている

2007.9.22
SRFC
Taro.S