コラム~成蹊ラグビー

失敗の本質

2017/09/12(火) 09:10

1984年中央公論社から出版された本で、太平洋戦争等における旧日本軍の敗因を組織論から論説している
累計80万部ものベストセラーとなり、30年以上経過した今でも話題となるのは失敗の教訓を企業経営や組織運営に活かしたいと思う経営者/指導者が多いからであろう

この著書によると旧日本軍の最大の失敗の本質は『特定の戦略原型に徹底的に適応しすぎて学習棄却ができず自己革新能力を失ってしまったこと』にあると説いていて、具体的には次の3点に要約される
①コミュニケーション不足による方針・戦略の不徹底
②強烈な戦略原型(ものの見方)と既成概念への固執
③自己革新が起こりようもないダイナミックさに欠け閉塞感の塊の組織体質

また、この『失敗の本質』は学術的で難解とされているために組織論コンサルタントである鈴木博毅氏がその入門編として「超 入門 失敗の本質」を著し、その中で失敗の本質には7つの視点があると解説しているので披露すると
①戦略性の相違
最終目標を明確にしていた勝者と目の前の戦いに終始した敗者との相違点
②思考法
練磨と改善には強いが大きな変化や革新が苦手で柔軟な対応ができないこと
③イノベーション
②と似ているが、既存ルールの習熟に長けており、大きな変化を伴うイノベーションが苦手なこと
④型の伝承
創造ではなく方法に依存する体質、成功体験を重要視してしまい、変化に対して新しい創造ができない
⑤組織運営
現場活用が下手で、権威とその力で現場の柔軟性を押さえつける体質
⑥リーダーシップ
環境変化を乗り越えて勝つことができるリーダーは新しく有効な戦略を見つけることに長け、負けるリーダーは有効性を失った戦略に固執して敗北を重ねる
⑦日本的メンタリティ
リスクを隠し、かつ過小評価することで被害を増大させ、時間の経過とともに修正不可能に陥ってしまう体質

上記の3つの要点と7つの視点 これらはラグビー部の学生たちが戦うための戦略を立て、またクラブ運営をしていく上でとても良い教訓になると思うのでこれを機会にこの本をぜひ読んでほしい

この著書は6人の共同執筆であり、その中の1人で経営学の権威である野中郁二郎氏は、『競争の本質は失敗から学び続ける者が勝つ』と説いている

今週末から厳しい戦いが始まる『牛山組』には、ぜひともその厳しい戦いの中からも最終的な目標を勝ち得るために学び続けて欲しいと切に思っている

2017.9.12
SRFC Taro.S