コラム~成蹊ラグビー

サウジアラビア国王来日

2017/03/14(火) 13:11

日曜日からサウジアラビアのサルマン国王来日ということでその豪華な一行が連日報道されているが、予想されていた『爆買』はそれほどでもなく勝手に期待していた関係者をがっかりとさせているようではあるが、そもそも来日の目的が違うのだからしょうがない

アラビア半島の約80%を占める広大な国土(日本の6倍)には世界一の原油が埋蔵されており、世界の原油の13%を供給しているOPECの盟主的存在である

そんなサウジアラビアではあるが、外貨獲得手段がこの天然資源採掘の輸出しかない中、近年では原油価格の下落で財政状態は逼迫しており、また、製造業はほとんど存せず、観光業も巡礼者(メッカとマディーナ)と業務渡航者以外を受け入れていない状態であり、経済構造のもろさが露呈してきている

そんな将来的不安を見据えて2015年にムハマンド皇太子が『サウジ・ビジョン2030』を策定

製造業や公共投資、観光や教育の重視を柱とした成長戦略を掲げ、この分野で先進的な役割を果たしている日本等に協力を求めるために来日してるのであり、暢気に観光旅行に来たわけではないのだ

日本の後には中国へも訪問するらしい

日本と中国とを両天秤にかけ、競わせ、より有利な条件を提示した国との国交を深化させようとしている

やはり中東国家らしくその辺はしたたかだ

元々、国の歴史は浅く、現サウジアラビアを国家として最初に承認したのは旧ソ連であったが、絶対君主制国家が計画経済政策を採用できるはずもなく、君主制維持のために西側諸国とも親しくしており、またユダヤ国家であるイスラエルとは対立状態ではあるが、他のイスラム国家ほど表面的に対立関係を表しているわけでもない 

原油と言う現時点では最強の国家資源を有効利用し、全方位外交政策を採用しているサウジアラビアとの国交深化は一筋縄ではいかないだろう

『日本・サウジ・ビジョン2030』の合意をきっかけにどこまで両国が信頼関係を気付き、長年に亘って相互補完して行けるのか資源が少ない日本国にとってはかなり重要な国策となる

TVや新聞等はその点をしっかりと報道すべきであり、興味本位にご一行の爆買ばかりを追いかけているようでは購読者は減り、視聴率も下がる一方となってしまうと思う


2017.3.14
SRFC
Taro.S