コラム~成蹊ラグビー

甲南大学定期戦

2016/12/15(木) 00:00

いよいよ2016年平丸組の最終公式戦となる甲南大学との定期戦が12/17(土)に六甲アイランドの甲南大学グランドで行われます

なぜ、土曜日に試合を行うのかと疑問に感じる方もいると思いますが、現在の池田監督が4年生の代 ちょうど『成蹊けやきグランド』の開場記念試合となった定期戦前日(土曜日)に両校3,4年生の懇親会が盛大に行われ、あまりにも盛大に行われ過ぎたために翌日の試合の両校のパフォーマンスに多大な支障をきたしたことがあったので、その反省を活かした結果として現在の形となったのです

この経緯も説明したほうが良いかもしれません

自分たちの時代も同じように試合後に盛大な懇親会があったぞ!と言われる世代も沢山あると思いますが、一時期両校の学生間交流が希薄になり、単に遠隔地に試合をしに行くだけ、試合後も簡単なアフターマッチファンクションをするだけの関係となってしまい、このままでは定期戦の存続に危機感を抱いた両校OB達が未成年ではなく心置きなく飲酒ができる3,4年生の懇親会を実現させようとしたこと(それが池田監督4年生の時)が現在も続いているというものです


今年で第64回目となる伝統の定期戦の第1回は昭和29年 秩父宮ラグビー場で行われたそうで・・・・結果は手元に記録がないので残念ながら判りませんが、対戦場所についてはおそらく物凄い力を持ったOBが両校に存在したことが想像できます

いつからお互いのグランドを隔年で訪問し合う現在の対戦形式になったのか不明ですが、僕が大学2年生時までは甲南大学グランドはJR東海道線(JR神戸線)摂津本山駅の南側線路沿いにあり、試合中に時折通過する電車の音で試合中の声がかき消されたことが思い出されますし、現在のグランドでの定期戦は大学4年生の時が最初でした


2004年(平成16年)に『南郷茂治盃』が創設され、それ以降は南郷盃争奪戦となっています

この南郷茂治先輩については我々もしっかりと記憶し、伝承していかなくてはならないと思うので以下に紹介をします(内容については甲南大学学報誌に掲載された元甲南大学ラグビー部顧問である藤田宏郎法学部教授の寄稿文より抜粋しています)

南郷先輩は、昭和6年旧制成蹊高校から東京大学文学部に進み、昭和9年に東大を卒業 成蹊高校時代にはラグビー部主将として活躍され、成蹊史上でも偉大なラガーマンとして謳われています

昭和11年旧制甲南高校の西洋史の教授となり、同時に同校ラグビー部部長となられたそうですが、このご縁は南郷先輩のご尊父である南郷三郎氏と甲南学園創立者である平尾釟三郎理事長との間に親交があり、招かれたことから始まったと言われています(平尾理事長は英国パブリックスクールで盛んにおこなわれているラグビーがスポーツマンシップ、フェアプレー精神を育むのに一番良いと考え、甲南学園にラグビーを推奨された方だそうです)

昭和16年甲南より旧制成蹊高校へ戻り、その後戦時下の昭和18年海軍司政官としてインドネシアセレベス島に赴任、現地日本人学校長として活躍し、復員後は多くの企業の役員を務められ 昭和62年ご逝去されました

この南郷先輩は私が大学1年生のOB総会の時に拝見した覚えがあります・・・両サイドを同じく旧制高校の先輩方に支えられながら『この南郷さんは満州に渡って馬賊になると言っていた男だよ』と紹介され、はにかんだ様子でニコリとされていた姿を覚えていますし、また南郷先輩のご子息である南郷茂隆さんもラグビー部の先輩(1969年 昭和44年卒)です


このように成蹊学園と甲南学園との両学園ラグビーの懸け橋となり、その発展に多大なるご貢献をされた南郷先輩の遺徳をしっかりと理解をし、これからも永遠に受け継いでいかないといけないと改めて感じております



今週末の試合が素晴らしいものとなり、両校部員が新しい友情を育んでいくきっかけとなるように祈念しています


2016.12.15
SRFC
GM Taro.S